2010年10月19日火曜日

立山室堂ARプロジェクト一段落

立山室堂付近へのセカイカメラによるエアタグの設置が、先日のエアタグ体験会で一段落しました。
富山県内の民放三社全てが取り上げるなど、観光地でのセカイカメラの利用について、報道機関の関心は、それなりに高まっている様です。
隣県の岐阜県の試みが報じられていたとはいえ、春頃までセカイカメラの利用については、否定以前の問題で「うちは高山ほどいけてないから」とか、「スマートフォンでしか使えないっていうのは不味いね」という反応ばかりでしたが、これで、少しずつでも理解が得られれば、やった甲斐もあろうかというものです。

今回の室堂での実証実験では、場所の特性もあり、あらかじめ設置するエアタグのコンセプトを決めていました。それを実際に設置し、歩いて確認してみることで、改めていろいろなことが見えてきました。
AR技術の有用性については、疑うべくもありません。しかし、その運用方法やアプリケーションの活用方法には、見た目や仕組みの説明を受けて理解できることとは違うレベルでノウハウが存在する様です。
そこをビジネスチャンスとして見るかどうかは、それぞれの商売っ気のレベルのおハナシになるかと思いますが、多くのARアプリケーションは、まだまだ利用可能なデバイスの特性に大きく制限されている状態です。
「スマートフォンをかざして歩く」「立ち止まってスマートフォンを操作する」という二つの動作をどの様に利用できるか、のぞきこんだ画面に表示されるエアタグは、どんなものが最適か、実際に利用されている岐阜県や高山市などでは、この辺りの検証がきちんと進んでいるのではないかと思いますが、富山県内でも、これを皮切りに有効活用が進むことに期待します。

現時点で得られる効果は、ある意味で受け手が限定された旬のものです。しかし、今後の展開に乗っていくには、きちんと活用方法を検証しておく必要のある技術であることも確かです。セカイカメラのエアタグに関しては特に、きちんとしたフィールドワークを欠いて、スペックから利用方法を逆算しても、最上の結果に結びつくことはないものと思われます。
しかも、現時点の「限定された受け手」であるスマートフォンユーザーの顧客としてのポテンシャルは侮れないものがあり、彼らに向けて訴求していくこと自体にも、大きな意味があると考えています。

春先に、とあるイベントに関連して富山市内に設置されたエアタグは、準備不足もあってか、設置当初から何の役にも立っていませんでした、残念ながら、この試みについて検証し、次につなげようという動きがあるということも聞きません。
セカイカメラというデファクトスタンダードのアプリケーションを通じて共有する仮想空間を、どの様な形で有効利用していくのかは、現時点で、テクノロジーで市街地や観光地を楽しくしようとする動きの中でも、面白い話題のひとつではないでしょうか。いろいろと模索してみていただきたいものです。

この後、小矢部市のメルギューくんが富山県内のいろいろな場所に登場するプロジェクトが始まります。石川県野々市町でも今年度中にエアタグを設置していきます。ARの実験はまだまだ続きます。

2010年9月19日日曜日

引き続き、拡張現実プロジェクト

立山黒部アルペンルートの産官学連携プロジェクトを皮切りに、富山県内でのAR関係プロジェクトが複数進行中です。
ARと町歩き、地域おこしの親和性は極めて高く、様々な場所で地域の独自コンテンツを見直すきっかけになるものと考えています。

ARを利用できるデバイスが少ない点がよく問題にされますが、どの地域に対しても言えることは、『スマートフォンユーザー』という、これまで、自分たちの客として認識したことも、訴求したことのないセグメントに、安定して認知されているキーワードで切り込むことができること、彼らは通常の携帯電話ユーザー以上に、情報を得るだけでなく、自ら情報発信をも行ないます。そんな人々を取り込める可能性があることに着目して欲しいということです。

『口コミで広げる』という呪文は知っているけれど、具体的に口コミの起点になってくれる人をどうやって掴まえたらいいのかという点においては、これまで以上に明確で具体的な挑戦になると考えられます。

ARによる現実拡張で、町中に新たな視点を取り込むことで、地域という面を『見どころ』『コンテンツ』という点でしか捕らえられなかったことに何らかの変化をもたらすことができれば、それが大きな一歩になるのではないかと考えます。

「町歩き」というテーマ自体が持っている歩行という時間性を、現時点で果たしてどの程度現地で共有できているのか、特に富山県の様な車社会では、歩行の時間性を忘れ、言葉だけが一人歩きしている様な印象を受けます。
従来の対象に、記憶に残らないツアーイベントを行なってエネルギーを消費するくらいなら、フィールドワークをきちんとして、ARからアプローチしてみることで、得られるものは大きいのではないでしょうか。

2010年7月27日火曜日

拡張現実プロジェクト

8月に入れば、プレスリリースが出るのですが、『セカイカメラ』を利用した産官学連携の実証実験のコーディネートをやっています。
学生の皆さんにも協力していただいて、国立公園の中にエアタグを貼ろう!というものですが、これには、もうひとつの実験が隠れています。
セカイカメラでエアタグを貼ると、Twitterに、#sekaicameraというハッシュタグ付きでエアタグの内容をツイートできる機能があります。これに乗っかって、今回の実証実験ではハッシュジャックを行なうことで、Twitter上でどのくら注目されるか、ネット上にどのくらい広がるかを見ていこうと考えています。
プロジェクトに参加する学生の皆さんにも、Twitterのアカウントを用意していただき、連携の「産」にあたる企業の皆さんにも、学生さんの実証実験中のツイートや、実際にエアタグとして貼られた#sekaicamera付きのツイートに、更に解説を加えていただくといった支援をお願いしています。
これをきっかけに、この実証実験に関わる企業内の複数の個人が、自身の身分を明かしつつ、個人的にTwitterを利用することになれば、かなり自然なPRにもつながっていくと考えています。つぶやきはあくまで個人的なものとし、公式アカウントの「中の人」というスタンスではなく、あくまでも自分が属している組織や職業を明かしながら、Twitterを楽しんで使う。ここから生まれるPR効果は、地味でも深く届くものになるのではないかと考えます。
ところで、この産官学の連携の「学」の皆さんは、今回の実証実験をきっかけに、富山県内のいろいろな場所にエアタグを貼る活動を開始します。
主に利用する「セカイカメラ」はiPhoneやいわゆるGoogle携帯Androidのソフトです。一部の人にしか利用できないんじゃどうも……。というご意見も一度ならず耳にしてきましたが、岐阜県では既に県をあげて取り組んでおられますし、まだまだ観光案内のARタグは珍しいので、積極的に整備していけば、これまでの観光客とは違う層に、違う角度から訴求できます。観光客を獲得する従来の厳しい競争とは、フィールドを変えてできる試みというだけでも、価値は十分あるのではないでしょうか。