2012年2月23日木曜日

商店街で遊ぼう!『あるくと・であう』/氷見のイベント

富山県氷見市で活動するアートNPOヒミングが昨年から展開しているヒミング歩きであい部の活動の集大成となるイベントが、3月23〜25日に行われます。
ヒミング歩きであい部は、グループでスマートフォンやカメラを携えて氷見の市街地を歩きまわり、面白いもの、興味深いもの、美味しそうなものを集め、写真にも収めるという活動です。
活動を通して撮影され、Facebookのグループに投稿された歩きであい部の写真は今日の時点で約400枚にのぼります。

昨年、『氷見でござるの巻』のフィールドワークで氷見の市街地を歩き回ったとき、チェックポイントからチェックポイントへの移動距離や、その間、黙々と歩いていられるだろうかということをずっと気にしていました。散策ということで、トイレや休憩できる場所についても、果たしてどの程度の密度で存在しているのかということを気にしながら歩いてみて、氷見の市街地は、公衆トイレがそれなりに配置されてはいるものの、小腹が空いたときにつまみ食いできそうなものが無いということが気になりました。

『ヒミング歩きであい部』では、その辺をしっかり掘り起こしています。いろんなお店で何が買えるかという報告が毎回の様にあり、フィールドワークの時点での印象とは打って変わって、氷見の町中で何か食べ歩きできそうなおやつを新たに考案する必要は無さそうだと確信する様になりました。
勿論、それぞれのお店がディスプレイなどを工夫する必要はあるかもしれません。しっかりニーズに合うものが揃っているかといえば、確実にカバーできているという保障もあるとはいえません。
しかし、無かったのではなく、ある様に見えなかっただけなのだから、とりあえずはありますよと知らせるだけで現段階では良いと考えています。
新たな目玉を作らなければ、誰も呼べないし興味も持たないという感覚は、一体なにが源になっているのでしょうか。
地元の人間でなければ、そこが知らない土地なら、皆大なり小なりの好奇心を抱きながら移動する筈で、それをはなから否定する人間は、つまりターゲットの行動や気持ちを全く想定せずに予算を積み、永続できるかどうかわからない手間を作って、それを自分の存在証明にしているだけだと考えられます。

当然、多少ディスプレイを変更してそこに買い食いできそうなものがあることを知らせた後で、それを更に何らかの方向に育てていくということであれば、工夫の余地はあるでしょう。
しかし、今は何もわからないに等しい。なぜならこれまでは皆、ポイントからポイントへと移動する感覚しか持たなかったわけです。誰も街と出会うために街を歩いていなかったうえに、社会状況の必然性に従って、氷見の市街地は現在の姿になりました。氷見に住んでいる人間ですらバイパス道路を使い、中心市街地も自動車で通り抜ける場所でしかないため、街自体と向き合う歩行の感覚など誰も持たないに等しいのです。これから、それを覆す作業に入ると思えば、先ずは今あるものを総ざらえにして、丁寧な目録を作るところからでも構わないのではないでしょうか。

3月のこのイベントに合わせて、『氷見でござるの巻』もささやかながら、アプリケーションのアップデートを予定しています。ポイントではなく、氷見の市街地そのものの魅力を発見するためのアプローチのスタートを、氷見で直に体験してください。
いや、諸々の難しいことはさておき、うろうろしながら氷見ならではの美味いものが食えるイベントになることは確かなので、それだけでも十分刺激的な筈。ヒミングアートセンターの壁に大きく描かれた氷見市街地の地図のそこかしこに貼付けられたFoodの付箋を思い出すだけで、今でもなんとなくにやけてしまいます。
イベントの情報は、ヒミングのFacebookページでも小出しにしていく予定なので、是非チェックしてみてください。

2012年2月1日水曜日

石動プロジェクト始動

石動界隈のまちあるきアプリ開発のためのフィールドワークを開始します。
初日は小矢部市役所をスタートして、石動駅からお寺を中心に2時間半程度のコースを確認。見どころになるポイントをざっと把握してきました。
石動の商店街は昨年何度か歩いたことがあって、さて、ここを全体ひと回りしたとして、果たしてどのくらい時間が潰せるものだろうかと思っていましたが、その時は踏み込みが甘かった様で、商店街から少し入って、お寺や神社をポイントにして巡ってみると、結構面白くつながっていきます。また、実は山を背に抱えているために、ちょっとした見晴らしの良いポイントも散策コースに含めるのではないかという、面白い発見や、現在の散策案内図を補完するアプリ作りのヒントもそれなりに発見できました。

ヒミング歩きであい部のマップ
先行してサービスを開始している散策支援アプリ『氷見でござるの巻』が利用できる氷見市では、アートNPOヒミングという団体が活動しており、『ヒミング歩きであい部』という部活動を展開しています。皆で氷見の市街地を散策しながら面白い場所があったら写真で撮影し、Facebookのグループで共有しながら、最後に報告会を行うというものです。
『氷見でござるの巻』を制作する段階でも、かなりの時間コースになる場所を歩き回りましたが、『ヒミング歩きであい部』がカバーする範囲と量はなかなか圧巻です。
3月にはこの発見を利用したイベントも予定されていて、これに合わせて『氷見でござるの巻』を少しだけアップグレードするかもしれません。
また、この『ヒミング歩きであい部』の様な活動を、石動のまちなかでもやってみようという動きもある様です。

点を線や面にという話しは良く耳にしますが、その場所にあるものが面白いか面白くないかということになると、その質や量の大きなところは、にわかには動かしがたいものがあります。
氷見にも石動にも、それぞれ良いところや問題点があり、スマートフォンのアプリが何かをしたところで、そうそう簡単に本質が変化するわけではありません。
鉄道が一時間に一本という状況で、それを足に使う地方の感覚ではあまり省みられないことですが、知らない駅に降り立って、そこを起点に歩いてみる楽しみは、案外どんな土地でも享受できるものです。
自分が毎日目にしているものを、誰かが面白いと感じ、それについて改めて考えてみると、実は単に見ているだけで背景を深く知らなかったということは、案外あることです。
丁寧な再認識、拾い出しは様々な場所で可能です。「こんなものには誰も興味を持たない」という先入観から、躍起になって特別なコンテンツを探したり作ってみたりする前に、当たり前だと思って見ていたものの活用をするべきではないでしょうか。
幾度も歩き、アプリが動いている氷見でも、調査を始めたばかりの石動でも、今そこにある全ての資源を一気に使い切ることは不可能だということは、すぐに理解できます。

地力を連携させ、いかに活用するかは工夫次第です。スマートフォンを持ち歩くという新たな情報の受発信のスタイルが確立しつつある中で、どんなことがまちあるきを楽しむ有効な補助になり得るのかを更に模索していきます。