2012年7月24日火曜日

おさんぽしんみなと

富山県射水市の放生津界隈は、旧新湊市の市街地。ここに流れる内川という運河には、今も多くの漁船が繋留されており、地域の生活と水辺の深い関わりを感じさせる。
内川を含む旧新湊市街地、放生津の適度な広さと、路地の面白さに初めて着目してから何年も経つ。友人の師匠にあたるまちづくりのコンサルタントが、内川の辺りの仕掛けを手がけており、付近の小学生、その保護者と輪を大きくしていく構想を聞かされたことが始まりだった。
それからずっと、IT系のアイディアはどれもものにならなかったが、この界隈の路地の面白さ、JR高岡駅から路面電車の万葉線で乗り入れて細い路地の古い街並みに迷い込む楽しさや、漁港の町故の魚の美味しさ、街角の菓子屋で売っているお菓子やおやつにも、ちょっとした独特なものがあり、なかなか深い楽しみ方のできる地域だと考えている。

放生津の路地裏で昼寝する猫
『富山新港新湊祭りに』先駆けてリリースしたホームページ『おさんぽしんみなと』は、祭り当日に合わせてリリースされるスマートフォンのアプリと同時に利用できる、新湊に車を使わずに向かい、いろいろ楽しむためのちょっとしたアシストをするためのサイトだ。
NPO水辺のまち新湊など、地元の団体による詳細な紹介や、万葉線株式会社が行っている誘客キャンペーンなど、ずっと存在してはいるものの、多くの旅行者にとって、新湊はまだまだ知られざる穴場といえる。
同じ富山県民でも、自動車で『海王丸パーク』『新湊きっときと市場』に行くことはあるかもしれないが、旧新湊市街地に降り立つことはほとんど無いのではないだろうか。新湊は、かなり面白い。
スパンを長く取って、庄川河畔から海王丸パークまでの距離は十分に歩き応えもある。悪く言えば、内川界隈と『きっときと市場』、『海王丸パーク』間の導線は、車中心の田舎にありがちな中途半端な距離感だが、富山県の風景を知らない人にとっては、十分に時間をかけて興味深い風景を堪能できる。そのくらいの独特さはある。

今回も、富山県立大学の岩本先生を筆頭に、いつものチームでプロジェクトを実行させてもらった。
このチームは、KDDIのARプロジェクトSATCHを利用しており、氷見市の『氷見でござるの巻』を皮切りに、小矢部市の『メルギューくん大ピンチ!おつかいなんだっけ!?』と前年度から町歩きにフォーカスして富山県内で活動を続けている。
ARと歩行という点では、我々はARそのものを中心に据える手段をとらず、演出として利用し、旅客の滞留時間、歩いてもらうアプローチについての試行錯誤を続けている。
今回、ようやく新湊で歩くことについて、ITの側からのアプローチが実現できたことは、とても嬉しいことで、今後もこのホームページやアプリをブラッシュアップしていければと考えている。