立山黒部アルペンルートの産官学連携プロジェクトを皮切りに、富山県内でのAR関係プロジェクトが複数進行中です。
ARと町歩き、地域おこしの親和性は極めて高く、様々な場所で地域の独自コンテンツを見直すきっかけになるものと考えています。
ARを利用できるデバイスが少ない点がよく問題にされますが、どの地域に対しても言えることは、『スマートフォンユーザー』という、これまで、自分たちの客として認識したことも、訴求したことのないセグメントに、安定して認知されているキーワードで切り込むことができること、彼らは通常の携帯電話ユーザー以上に、情報を得るだけでなく、自ら情報発信をも行ないます。そんな人々を取り込める可能性があることに着目して欲しいということです。
『口コミで広げる』という呪文は知っているけれど、具体的に口コミの起点になってくれる人をどうやって掴まえたらいいのかという点においては、これまで以上に明確で具体的な挑戦になると考えられます。
ARによる現実拡張で、町中に新たな視点を取り込むことで、地域という面を『見どころ』『コンテンツ』という点でしか捕らえられなかったことに何らかの変化をもたらすことができれば、それが大きな一歩になるのではないかと考えます。
「町歩き」というテーマ自体が持っている歩行という時間性を、現時点で果たしてどの程度現地で共有できているのか、特に富山県の様な車社会では、歩行の時間性を忘れ、言葉だけが一人歩きしている様な印象を受けます。
従来の対象に、記憶に残らないツアーイベントを行なってエネルギーを消費するくらいなら、フィールドワークをきちんとして、ARからアプローチしてみることで、得られるものは大きいのではないでしょうか。