立山室堂付近へのセカイカメラによるエアタグの設置が、先日のエアタグ体験会で一段落しました。
富山県内の民放三社全てが取り上げるなど、観光地でのセカイカメラの利用について、報道機関の関心は、それなりに高まっている様です。
隣県の岐阜県の試みが報じられていたとはいえ、春頃までセカイカメラの利用については、否定以前の問題で「うちは高山ほどいけてないから」とか、「スマートフォンでしか使えないっていうのは不味いね」という反応ばかりでしたが、これで、少しずつでも理解が得られれば、やった甲斐もあろうかというものです。
今回の室堂での実証実験では、場所の特性もあり、あらかじめ設置するエアタグのコンセプトを決めていました。それを実際に設置し、歩いて確認してみることで、改めていろいろなことが見えてきました。
AR技術の有用性については、疑うべくもありません。しかし、その運用方法やアプリケーションの活用方法には、見た目や仕組みの説明を受けて理解できることとは違うレベルでノウハウが存在する様です。
そこをビジネスチャンスとして見るかどうかは、それぞれの商売っ気のレベルのおハナシになるかと思いますが、多くのARアプリケーションは、まだまだ利用可能なデバイスの特性に大きく制限されている状態です。
「スマートフォンをかざして歩く」「立ち止まってスマートフォンを操作する」という二つの動作をどの様に利用できるか、のぞきこんだ画面に表示されるエアタグは、どんなものが最適か、実際に利用されている岐阜県や高山市などでは、この辺りの検証がきちんと進んでいるのではないかと思いますが、富山県内でも、これを皮切りに有効活用が進むことに期待します。
現時点で得られる効果は、ある意味で受け手が限定された旬のものです。しかし、今後の展開に乗っていくには、きちんと活用方法を検証しておく必要のある技術であることも確かです。セカイカメラのエアタグに関しては特に、きちんとしたフィールドワークを欠いて、スペックから利用方法を逆算しても、最上の結果に結びつくことはないものと思われます。
しかも、現時点の「限定された受け手」であるスマートフォンユーザーの顧客としてのポテンシャルは侮れないものがあり、彼らに向けて訴求していくこと自体にも、大きな意味があると考えています。
春先に、とあるイベントに関連して富山市内に設置されたエアタグは、準備不足もあってか、設置当初から何の役にも立っていませんでした、残念ながら、この試みについて検証し、次につなげようという動きがあるということも聞きません。
セカイカメラというデファクトスタンダードのアプリケーションを通じて共有する仮想空間を、どの様な形で有効利用していくのかは、現時点で、テクノロジーで市街地や観光地を楽しくしようとする動きの中でも、面白い話題のひとつではないでしょうか。いろいろと模索してみていただきたいものです。
この後、小矢部市のメルギューくんが富山県内のいろいろな場所に登場するプロジェクトが始まります。石川県野々市町でも今年度中にエアタグを設置していきます。ARの実験はまだまだ続きます。